第66回 新潟広告協会
新潟広告賞入賞作品

新潟県内で制作された優れた広告作品を顕彰し、地域広告のレベル向上を図ろうと昭和34年に創設された「新潟広告賞」。66回目の今回は205点の応募がありました。2月8日の厳正な審査を経て、選ばれた入賞作品は以下の通りです。

応募数 新聞広告部門      27点
グラフィック広告部門  28点
テレビCM部門      54点
ラジオCM部門      37点
WEB動画部門       59点
審査員長 佐々木 圭一氏(上智大学非常勤講師・クリエイティブディレクター)
審査員 迫   一成氏(グラフィックデザイナー)
丸山  健太氏(空間演出プロデューサー)
関塚  真歩氏(デザイナー)
阿部   久 (新潟広告協会理事長)
講評

 2月の積雪が過去最高だったという日。1日で56センチ。新潟の町がまたたくまに雪景色に変わっていく中で行われた審査会でした。一方で、広告のクリエイティブも、いま激変が起こっています。AIをはじめとした華やかな技術が注目されるがゆえ、審査の基準は広告の原点に戻り、「人を動かすか」、こちらをもとに評価をしました。買いたくなるか、行きたくなるか、クリックしたくなるかといった、その広告にふれた人が行動を起こしたくなるような作品とはどれか、審査員同士でディスカッションを行いました。大雪も溶かすような、熱い広告に出会いました。



審査員長 佐々木圭一(上智大学非常勤講師/クリエイティブディレクター)

グランプリ

①それ、マスカラじゃなくて マラカス 篇/②お笑い視力検査篇/③芸人骨格標本篇
ジャンクギャグシリーズ
①それ、マスカラじゃなくて マラカス 篇
②お笑い視力検査篇
③芸人骨格標本篇
広告主 (株)ハードオフコーポレーション
≪制作社賞≫ (株)シースリーフィルム
部門 WEB動画
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 200以上の作品を審査する中で、もっとも審査会場を笑わせたのがこの作品でした。「上じゃなく、ウエーイ」。これを見た人は、ただ笑うだけでなく、そういえば家にいらないものあったなと、店舗に持ち込むきっかけになるでしょうし、ついでに新たなものを買って帰るきっかけにもなったでしょう。WEB広告の自由な秒数を活かしながら、途中で離脱させない見事な作品。2024年のナンバーワン。おめでとうございます!

新聞広告部門

金賞

困難を希望に変えた20年「不屈」
広告主 山崎醸造(株)
≪制作社賞≫ (株)ネオス
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 中越地震から20年の節目に、被災地の復興を「不屈」の精神で歩んできたことを力強く「書」で表現。地域とともに 歩む企業の感謝と伝統の継承への思い、明日への希望を感じさせる。

銀賞

錦鯉と共に、未来へ。中越から、世界へ。
広告主 全日本錦鯉振興会新潟地区
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2004年の中越地震で大きな被害を受けた養鯉業。地域の復興の象徴でもある「錦鯉」をダイナミックな動きで表現し、力強さと明るい未来が伝わってくる。

「佐渡島の金山」世界文化遺産登録推進キャンペーン SADOプライド・30段×2面
広告主 キャンペーン協賛70社
コメント

「佐渡島の金山」世界遺産登録決定の翌日付朝刊を包むラッピング広告。佐渡の誇りを「地球」の大きなビジュアルで 表現し世界へ発信する、インパクトのある広告。

新潟伊勢丹40周年 新潟と生きる伊勢丹
広告主 (株)新潟三越伊勢丹
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メインビジュアルの「大きな木」で地域とともに生きる企業であることを広く伝え、これまでの40年とこれからの地域への思いを分かりやすいコピーで表わしている。

新潟防災・減災アクション2024
広告主 キャンペーン協賛59社
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新潟地震60年や中越地震、7.13水害から20年など大きな災害の節目の年のキャンペーン。「備える」「守る」編など分かりやすい紙面で防災・減災の意識啓発をシリーズで展開した。

おいしさ つなぐ。みんなを つなぐ。小嶋屋総本店
広告主 (株)小嶋屋総本店
コメント

「へぎそば」を中心に4人が囲む何気ない食事の光景を優しく、あたたかいイラストで表現した。人と食をつなぐ姿勢が伝わってくる。

グラフィック広告部門

金賞

Basketball City Nagaoka プロモーション
広告主 NPO法人ながおか未来創造ネットワーク・長岡市
≪制作社賞≫ (株)ネオス
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バスケットボールの街長岡を伝えるための、良いグラフィックだと思う。駅前から連絡通路や市役所前という立地に大きなグラフィックデザイン。空間が活きて、来訪者の気持ちを盛り上げるきっかけになっていると思う。このサイズをうまく活用するのは難しいのだが、余白も含めてとても機能しているデザインだと思う。

銀賞

耳で楽しむ漫才ライブ
広告主 (株)ホイミ
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通常の漫才ライブと真っ暗にした中での漫才ライブを行う告知ポスター。なんで真っ黒なの?という、つかみになる直球のビジュアルと潔さが素敵でした。見えても、見えなくても。このコピーも大好きです。SNSで以前見かけた時も気になった。行ってみたかったイベントである。

ホテルイタリア軒150周年記念 3連ポスター
広告主 (株)イタリア軒
コメント

歴史とストーリーがあるイタリア軒の2大看板メニューを、ドーンと美味しそうなビジュアルで魅せていて潔い。情報を詰め込みすぎず、それでもこの大きさは自信の表れであり、来訪者はきっとレストランに引き込まれてどちらかを注文することになると思う。私も近々食べに行こうと思う。

未来を育む学びの場所 、ミライエ長岡へ
広告主 長岡市ミライエ長岡企画推進室
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自分の街にあったら素敵だなと思う広告。写真と色とテキストのバランスが取れていて、それぞれ設置場所ともマッチしているように見えた。多くの人が日々通い、過ごす場所にある広告は景色を作ります。この広告によってミライエという場所が目指す方向や、いい場所だよねという共感につながると思う。

にいがた捨ておけない!プロジェクト・ポスター
広告主 にいがた捨ておけない!プロジェクト事務局
コメント

なんだろうこのポスターは?と気になるデザインのポスター。よく見ると、一般的には不要とされて捨てられているものたちをどうにかする企画のようだ。詳しく知りたくなる。そこにちゃんとQRコードがありサイトに導かれこの企画とイベントについて教えてもらえる。結果とてもわかりにくいが、わかりやすいグラフィックとなっている。

テレビCM部門

金賞


新潟はエネルギー篇 60秒
広告主 (株)INPEX JAPAN
≪制作社賞≫ (株)新潟博報堂 /(株)Creative.LAB
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新潟に住み暮らしながらも気付かなかった「エネルギー」という宝物を、60秒の短いテレビCMの制約の中から感じ取れるだけでなく、新潟に住んでいることに「誇り」さえ感じてしまうパワーを持つ。幅広い年齢層に向けて難しいことを分かりやすく伝え、そして「新潟の誇り」まで気持ちを変化させる力は素晴らしい。

銀賞

地域の日々を、明るくしていきたい。篇
広告主 (株)コメリ
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新潟県内、どんな地域でも見かけるコメリの看板。そしてそこに住み暮らす、温かくてちょっとお節介好きの人々。今の世の中で希薄となってきている、地方が持つ大切な事を思い出した。地域とともにある安心感と人々の温かさ、そして誰かのために。グっと乾いた心に刺さる。

もっと、クルマが好きになる。CRUZARD篇・30秒
広告主 (株)コメリ
コメント

CMを見終わる頃には、車を洗車したくなる不思議な欲求が生まれている。洗剤の泡や水の描写、特に音が素晴らしい。人間の根幹に備わる「洗いたい欲求」のアクセルを全開にする。見た瞬間に欲求と行動生む。それこそCMというものだ。

マリンピアのいきものじかん
広告主 (公財)新潟市海洋河川文化財団
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大人から子供まで、幅広い層に「気になる」を残し、毎月の「楽しみ」さえも生むCM。新潟県民なら、一度は訪れたことのあるマリンピア日本海だが、CMを見る度に訪れたい欲求が生まれる。海の生物はまだ知らないことがたくさんある分、楽しみや発見も多い。その答えは実際に足を運んだものだけが知り得るご褒美。

ウオロクのポテトサラダ・15秒 / ウオロクの本格炭火醤油焼鳥・15秒
広告主 (株)ウオロク
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計算された方程式で生まれたポテトサラダ。見た瞬間に「すぐに食べたい欲求」が生まれた。おいしく見える描写とテンポで、みんなが大好きなどこにでもある当たり前の「ポテトサラダ」を格段と高い欲求レベルへと押し上げる。焼鳥篇も見た瞬間に「匂いと食感」が一気に押し寄せ「いますぐ食べたい」という欲求に昇華させるパワーを持つ。 見事。

ラジオCM部門

金賞


7時間47分の間。編
広告主 平安セレモニー(株)
≪制作社賞≫ (株)あべ研/(株)エフエムラジオ新潟
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主人公は大好きな父親の葬儀で、父親の職場での誇らしい一面を初めて知ることになる。誰しも学校や仕事に出かけると、どんなに親しい家族でも見えない時間が生まれる。そして、実際に一緒に過ごせる時間がどれほど限られているかを改めて思い知らされる。何気ない毎日の尊さ、日頃から家族の仕事に対する理解を深める大切さを鮮烈に教えてくれたCMだ。

銀賞

冬の新潟駅で楽しもう!乗って買って JRE POINT プレゼントキャンペーン(K-POP風AIソング音源)・20秒
広告主 東日本旅客鉄道(株)新潟支社
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KPOPを思わせる、聴き心地の良いキャッチーなメロディ。カラフルなボーカルに乗せて、新しくなった新潟駅のときめくような雰囲気と、乗って買って満喫しようというポイントを、軽快なビートで見事に伝えている。サウンドだけで新潟駅の多彩な楽しみ方が頭に浮かび上がる、グラフィカルで楽しいCMだ。

新潟のおとな
広告主 新潟県青少年健全育成県民会議
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子供にとって模範であるべきという、至極当然だが大人たちにとっては少し耳が痛いメッセージ。ヤンさんとモトキさんの軽快な「おめさん、どうらねぇ?」というコミカルなやりとりは、日頃を省みるきっかけを絶妙な温度感で与えてくれる。

渡りたいのに停まらない_歩行者篇・20秒/渡らないなら停まらない_運転手篇・20秒
広告主 新潟県総務部県民生活課
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車社会の新潟。「歩行者優先」が忘れ去られたような場面が多々見受けられ、交通弱者にとって理不尽な状態がしばしば見られる。「トラハラ」という言葉は、その状況を見事に言い表しており、「それ、トラハラですから!違反ですから!」という脳裏に焼き付くようなアラートは、多くのドライバーが気を引き締めるきっかけになりそうだ。

正しいって疲れる篇 A・40秒/正しいって疲れる篇 B・40秒
広告主 サントピアワールド(株)
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正しいことに縛られがちな現代、建前と本音のギャップが心に刺さる。やや強い口調の本音には、多くの共感を呼び起こす力があるだろう。現代人の心の闇を引き金に、サントピアワールドで楽しむことだけに注力しようというメッセージの打ち方が実にうまい。

WEB動画部門

金賞

新潟長岡風 生姜醤油鍋用スープ
広告主 原信ナルスオペレーションサービス(株)
≪制作社賞≫ (株)コム
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いわば、プロが本気でつくった飯テロ。新潟の広告は食をテーマにした作品がたくさんあるが、こちらの作品はずば抜けている。広告を見て、その帰り道にスーパーで買ってしまった人もいるだろう。

銀賞

AIRMAN episode 0
広告主 北越工業
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正しくそのまま伝えれば、世の中に伝わるわけではないという好例。会社の認知も広がるし、「こんな楽しそうな会社で働きたい」といった就職希望者も増えそう。episode 0 とあり、今後のエピソードにも期待。

クロスウィルメディカル イマキミ ショートムービー
広告主 クロスウィルメディカル(株)
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人材の獲得が、むずかしい時代。医療機器を販売する会社は世の中にたくさんあるが、「人の命をすくう」ことをダイレクトに感じることができ、仕事の魅力が伝わる。

私のママはみんなのヒーロー篇
広告主 中越通運(株)
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トラックに荷物を積み込むママさんドライバー。仲間と助け合いながら地域に給食を届けている。一見、華やかとはいえない仕事現場なのに、その魅力が子どものナレーションにより伝わってくる。子どもの声が、一瞬たどたどしいのもいい。

シリーズ「人間公論」/第一話 雪道篇/第二話 テレワーク篇/第三話 それでも外出篇
広告主 北陸地方整備局 新潟国道事務所
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予算がなくても、いい広告がつくれる好例。「雪の日には不要不急の外出はひかえる」ことを伝えているが、雪の日に集まって審査した審査員同士、目を合わせてしまった。