お知らせ
情報デー/「ソーシャルデザインで新潟を元気に」を開催しました。
毎年恒例の“情報デー/時の話題講演会”が、7月6日(土)、ホテルオークラ新潟にて開催されました。
今年は、「新潟広告賞」が60回目という節目を迎えたのを記念して、新しく審査員長に就任した福井崇人氏(クリエイティブディレクター・京都造形芸術大学客員教授)と、「サマーウォーズ」、「バケモノの子」、最新作「未来のミライ」などで注目を集める映画監督 細田守氏を迎えて講演会を実施しました。タイトルは「ソーシャルデザインで新潟を元気に」。新潟広告協会会員社のほか、学生や親子連れなど一般客も来場、200人を超える観客を前にスタートしました。
まず、オープニングトークとして福井教授は、今回の新潟広告賞の受賞作品の中に、素材として「モノ」をデザインするのではなく、「コト」をデザインした作品が数多く受賞していることに着目しました。まさに「ソーシャルデザイン」。
そして新潟には「2つのチカラ」が存在していることを示唆。一つは「新潟の豊かな自然力」。もう一つはフジロック、大地の芸術祭、長岡花火に代表される「非日常体験力」。
新潟を元気にするきっかけ作りとして、その2つのチカラ(と女性の好み)をコラボさせ、体験(コト)をつくれば、より来訪者が増えるのではないかと提唱されました。
続くスペシャルトークでは細田監督が加わりました。まずは福井教授による「成功のためには、明確なニーズよりもインサイト(隠れた欲望)を見つけ出すことが肝心、その経営・運営は「存在意義」から考えて羅針盤を持つことが重要」という投げかけから、細田監督の「存在意義」としての強み弱み、生い立ち、好奇心、夢、原動力などが話されました。
細田監督は、自身の弱みとして考えていた、富山の片田舎で育ったことや、当時何かと風当たりが強かったアニメ好きという個性は、いつの間にか強みに変わっていったと言います。もう一つの弱みであった内気さについては、アニメ制作の現場は長丁場で、数多くのスタッフをたばね信用を得なければならないため、必然的に変わっていったとのこと。
「好奇心」については、学生のときは自分から遠いもの(ルネサンス、世紀末ウィーン)に憧れていたが、実はその時代の芸術家たちも、当時の身近なものを表現していたのではないか、という気づき。若いときに感じた作りたいものが作れない抑圧感や、自身の父母、奥様、子供達など身近なところに「作品づくりの動機」があると言います。
そのような細田監督の考え方は、まさに新潟のソーシャルデザインを描くヒントとなり、
そこから新潟の強み弱み、生い立ち、感情、好奇心などが掘り下げられました。自分の身の回りのこと、当たり前だと思っていることが実はインターナショナルであること。
そして福井教授が説いたのが「場所のチカラ」。原宿がきゃりーぱみゅぱみゅを生み、「世界でいちばん住みたい街」米・オレゴン州ポートランドにナイキの本社があり、富山が細田監督を生んだように、新潟にも何かが生まれる「場所のチカラ」があるはず。自分の存在意義に沿って、その場所でしかない感情、感謝が詰まったものを、普通とは違うようにアレンジすることで、ヒットする=「新潟の元気」につながるのではないか。細田監督がやってきたように、「ソーシャルデザイン」は宝探しであり、自分の中に宝を見つけることではないかと結論付けました。
細田監督の創作におけるエピソードも話されました。絵コンテを描くために、8ヶ月も孤独に仕事場にこもるそうです。映画のキャパを考えると、その位考えて作品との自問自答を重ね、耐えられる強度のものがやっと2時間の映画作品になる、とのこと。
最後は「質疑応答」。将来アニメ作家になりたいとの高校生からの「アニメ監督になりたいと思ったきっかけは」という細田監督への質問には、子どものとき「銀河鉄道999」、「ルパン三世 カリオストロの城」、「赤毛のアン」などを見て、「すごい!自分も作ってみたい!」と思ったという回答。ぜひ良い作品に出会ってほしいと応えられた。
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