第64回 新潟広告協会
新潟広告賞入賞作品

新潟県内で制作された優れた広告作品を顕彰し、地域広告のレベル向上を図ろうと昭和34年に創設された「新潟広告賞」。64回目の今回は212点の応募がありました。2月4日の厳正な審査を経て、選ばれた入賞作品は以下の通りです。

応募数 新聞広告部門      29点
グラフィック広告部門  39点
テレビCM部門     57点
ラジオCM部門     37点
web動画部門      50点
審査員長 佐々木 圭一氏(上智大学非常勤講師・クリエイティブディレクター)
審査員 比留川 勇氏(フォトグラファー)
渡辺 奈美子氏(アートディレクター、デザイナー)
迫 一成氏(グラフィックデザイナー)
井嶋 猛(新潟広告協会理事長)
講評

今年の審査のキーワードは、「スピード」と「人を動かす」です。YouTubeやSNSなど、人が見たいものがふえ、激しい時間の奪い合いが起こっています。

その中で、もともと積極的に見たいと思われていない広告は、一瞬で伝わる「スピード」が求められます。そして、実際にその広告を見たときに、ただ「いいな」と思わせるのではなく、実際に人が買いたくなる、参加したくなる、検索したくなる、そんな「人を動かす」チカラも求められます。

新聞、テレビ、ラジオ、web動画、グラフィックとメディアの総合格闘技戦の中で、新潟の澄んだ夜空にある星のような、きらきら輝く作品たちがそろいました。



審査員長 佐々木圭一(上智大学非常勤講師/クリエイティブディレクター)

グランプリ

村上岩船福祉会リクルーティングムービー【season2】
広告主 社会福祉法人村上岩船福祉会
制作社 (株)プロメディア新潟
部門 web動画
コメント

夢にむかって成長していく女性のドラマを見ているような。人手不足のこの時代に、福祉の仕事は、もっとも困難な採用のひとつでしょう。その中で、見事に解決したのが、この動画でした。女性の表情と、タイトルワーク。実際に、「ここで働きたい」と思う人がたくさん集まってくるであろう、人を動かす作品。採用のための広告ではありますが、施設に入られるご年配の方にとっても「こんなハッピーなところでお世話になりたい」と思える。関係者の方々おめでとうございます。

新聞広告部門

優秀賞

長岡造形大学 2023年度 15段広告
広告主 長岡造形大学
制作社 (株)ワークバンド
コメント

新聞を開いた時に「!!」となる、新聞という媒体を活かした潔い作品だ。造形大学というデザインや建築などを学ぶ学校らしさを感じることもでき、続きをQ R経由で見たくなるし進学先として選ぶきっかけになりうるだろう。

奨励賞

朝日山「ゆく年くる年」
広告主 朝日酒造(株)
コメント

美味しそうな年の瀬を感じるイラストと、馴染みのある「ゆく年くる年」の瓶。家族や親戚が集まりわいわいがやがやと賑やかな声が聞こえてきそうな広告である。年越しの準備をしなきゃ、と思わせてくれる生活に寄り添ったあったかい作品だと感じた。

無限大、工科大。
広告主 学校法人新潟工科大学
コメント

無限大、工科大。というキャッチコピーと真剣な表情の男女の写真が直球でわかりやすい。ものづくりに関わりたい学生とその保護者が進学先を探す際、どんな学校か興味を持つだろう。良い広告だ。

食料安全保障の危機 30段
広告主 新潟県農業協同組合中央会
コメント

「緊急事態だな」と感じさせる日本の食料品を取り巻く状況や背景を、緊迫感のある写真と文字で真剣に伝える強い作品。難しい内容だが分かりやすく言葉にしてあり、ストンと腹落ちした。

新潟と、未来へ。
広告主 (株)INPEX
コメント

美しい佇まいの工場と背景の山や見事な花火の写真。うまくレイアウトされた写真と大きな社名に惹きつけられた。連作のどれもが写真の美しさに惹かれじっくりみたくなった。知名度の向上やリクルート効果もありそうだ。

小嶋屋総本店創業100周年 企業広告
広告主 (株)小嶋屋総本店
コメント

柔らかいタッチのイラストと、創業百年をテンポ良く伝えるテキストが心地よかった。新聞の一紙面として目の前に現れた日は、蕎麦が食べたくなるに違いない。掲載日はきっと小嶋屋さんは混んだと思う。

グラフィック広告部門

優秀賞

2022年「みんなであげよう」長岡花火広報ポスター
広告主 (一財)長岡花火財団
制作社 (株)ネオス
コメント

花火大会の広告であるにも関わらず、花火が写っていない広告を見たことがありますか?コロナを乗り越えて、いよいよ再スタートする花火大会の、直前の熱気がみごとに表現されている。新潟に住むみんなの希望を打ち上げた、素晴らしい作品。

奨励賞

阿賀野市移住促進ポスター「ナチュラルでいこう。」
広告主 阿賀野市役所 企画財政課
コメント

まったく違う4つの角度から、市の魅力を1つにまとめたポスター。移住を考えている人には、いちど行ってみてもいいかなと思わせる、人を動かすスポスターだ

新潟を忘れないで。/東京なんて考えたことなかった。/食べることで蘇る。/もしDJをやっていなかったら、/ヒップホップを好きになったのも、/いつでも帰れる故郷がある。
広告主 新潟県広報広聴課
コメント

新潟在住の審査員から、特に高評価だったこちらの作品。写真のトーン、そして、コピーがリアル。新潟出身で、東京に出ようと思っている若者の記憶に残る作品。

事実、想像を超える温泉地、新潟県。
広告主 (公社)新潟県観光協会
コメント

これを見て、行きたいなあと私自身思った。ひとつひとつの温泉から、溢れだしてくるあたたかさを感じる。写真でありながら、湯けむりが動いているかのような作品だった。

さどの島銀河芸術祭プロジェクト2022告知ポスター
広告主 (一社)佐渡国際芸術推進機構
コメント

圧倒的な写真のクオリティ。ふつうならば、晴天のときに撮影するだろう写真が曇天。龍が出てくるかのような雲。そしてただならぬ島。心をざわつかせ、興味を持たせる作品だ。

ぎりぎりアトラクションseason 3 ポスター
広告主 サントピアワールド(株)
コメント

審査のときに、異色を放っていたこの作品群。制作者の方々が楽しみながら、つくられたことがわかる。「楽しい」を伝えたいならば、「楽しくつくる」ことが最強であることを教えられた。

テレビCM部門

優秀賞


福田道路ブランドムービー 男性篇/女性篇
広告主 福田道路(株)
制作社 (株)デジタル・アド・サービス
コメント

日常で見かける道路工事のその先に素晴らしい未来が繋がっていくという表現は上手い。これを観た就職活動中の学生達にも生涯誇りを持って取り組んでいける仕事だと訴求できるだろう。

奨励賞

コロナ暖房製品(ノイルヒート)30秒
広告主 (株)コロナ
コメント

製品を前面には推し出さず、家族のストーリーで暖かさ、優しさを表現しているのが良い。美しい雪景色と兄妹の会話が心に残り、それが商品のイメージとして結びつく演出が上手い



無限大、工科大。①「ここから」篇15秒 ②「果てしない夢」篇15秒 ③「あきらめない」篇15秒
広告主 学校法人新潟工科大学
コメント

進路に悩む高校生にとって夢や可能性、希望など自分のこれからについてヒントを与えてくれる前向きな表現になっておりとても良い。受験生と同じ世代に夢を語らせているのも共感を呼ぶだろう。

2022年夏期 TV-CM
広告主 上越市立水族博物館うみがたり
コメント

テンポの良い曲と共に、動物たちの可愛く楽しそうな映像が印象に残り、観た人は水族館に行ってみようという気持ちになるだろう。15秒で「明日だれかと行きたくなる」想いにさせる作りは秀逸である。



新潟県 米粉キャラクターCM 全4篇
広告主 新潟県
コメント

もちもち、さくさく、しっとり、新潟県産、これら製品の特徴をキャラクター達に語らせているが、内容が説明的ではなく会話の面白さで観る人に興味を持たせる構成で上手く作られている。

ラジオCM部門

優秀賞


いいきになってる
広告主 新潟県森林組合連合会
制作社 (株)新潟放送
コメント

「いい気」と「いい木」の、ネガティブからポジティブへのやりとりの転調、落とし込みの流れが痛快で気持ち良い。身近に感じる機会の少ない団体を、シンプルで強いワード、表現の一点突破で、見事にわかりやすくPRしている作品。

奨励賞

ヤスダヨーグルト バナナ「最後の朝食」篇20秒、「織田信長」篇20秒
広告主 (有)ヤスダヨーグルト
コメント

ヨーグルトの広告ながら「最後の晩餐」や「織田信長」といった意外性のあるキーワードの登場が興味深く、引き込まれる。夫婦の絶妙なやりとりもユニークで、独特の世界観を産み出し、商品の特徴を印象深く伝えることに成功している。

夏休みの思い出
広告主 (株)山内葬祭
コメント

葬儀というデリケートな題材を、子供の楽しいイベントへ転換させている。その振り切った表現が心に残る。幼い子の無垢で正直な言葉で、その家族葬の雰囲気や温かみがダイレクトに伝わってくる。

感謝
広告主 (株)福宝
コメント

日常の中の夫婦の素朴なやりとりに共感する。なんでもない日々を送れる幸せ、ご先祖様への感謝から仏壇に手を合わせる意味、習慣への落とし込みの流れがとても自然で、うまく企業イメージを高めている。

落語
広告主 (株)永井建設
コメント

落語調の表現がテンポよくすっと耳に入り、謎かけが興味をそそる。商品の個性をうまくいかした展開で、顛末もなるほど、と面白い。メッセージを、コミカルな切り口でわかりやすく明快に伝え、強く印象づけている作品。

【連作】還付金詐欺篇/架空料金請求詐欺(料金未納)篇/架空料金請求詐欺(名義貸し)篇
広告主 新潟県警察本部
コメント

電話でのいろいろな振り込め詐欺の手口を、実際の犯人の音声ややりとりを生々しく伝えることで、より自分ごととして心にせまり注意を喚起している。抑制された表現がよりリアルさや緊張感があり、耳を止めさせる。

web動画部門

優秀賞

犯罪被害防止広報動画_テーマ1「自画撮り送信被害防止篇」/テーマ2「SNSに起因する性犯罪等の被害防止篇」/テーマ3「ネットトラブル篇」
広告主 新潟県警察本部生活安全部少年課
制作社 (株)UXビジョン
コメント

Z世代にネットトラブルやSNSに潜む危険を訴求するため、ラップと軽快な語り口でストレートに表現。一方で全体のトーンを暗く落とし、深刻さを伝えている。これを見た女子高生は、一歩手前できっと立ち止まる。

奨励賞

SL-C57180”汽笛、聞こえたりして。”
広告主 (株)コロナ
コメント

SLを模したストーブの傍らで鉄道ジオラマづくり、この構図で勝負あった。ケトルの注ぎ口から本物の汽笛が聞こえてきそうで、SLばんえつ物語になじみのうすい人でも、実物の商品をちょっと見たくなる。

時代に求められる脳研究/Dr.Knowの脳研QUEST
広告主 新潟大学脳研究所
コメント

案内キャラ「Dr.Know」の優しいコトバを用いた説明は、難解そうな脳研究を身近なものにした。トップブレインバンクで世界からの高評価もナチュラルにアピール。研究所のみならず新潟大学全体のブランド向上につながっている。

事実、想像を超える温泉地、新潟県。
広告主 (公社)新潟県観光協会
コメント

4か所の映像は、美しいロケーションと、癒される湯音でそれぞれを特長的に伝え、どのお湯につかろうか迷わせる。あとには県内20か所の温泉地を一挙にドーンと見せられ、県内にはまだどんな温泉があるのか、好奇心が湧いてくる。

竹あかりアートプロジェクト「たがみバンブーブー2022」
広告主 道の駅たがみ 田上町商工会青年部
コメント

自分たちの手で、竹の切り出しから制作、展示に至るまでひたむきに取り組む地域住民の姿は、竹への愛とプロジェクトの価値をひしひしと伝える。心あたたまるアート作品と住民の想いを、足を運び自分の目で確かめたくなる。