第61回 新潟広告協会
新潟広告賞入賞作品

新潟県内で制作された優れた広告作品を顕彰し、地域広告のレベル向上を図ろうと昭和34年に創設された「新潟広告賞」。61回目の今回は253点の応募がありました。2月8日の厳正な審査を経て、選ばれた入賞作品は以下の通りです。

審査員長福井 崇人氏(京都造形芸術大学客員教授・クリエイティブディレクター)
審査員 関谷 隆氏(アートディレクター)
比留川 勇氏(フォトグラファー)
あだち あさみ氏(デザイナー・イラストレーター・絵本作家)
佐藤 明(新潟広告協会理事長)
講評

大学の講義をしていると、実際に行動にうつせる学生は全体の1%ぐらいと言われている。
会社や組織の理念や行動指針なども同様で行動できる社員は少ない。
各自のセルフイメージが低い状態では、いくら理想を語っても、たとえアタマで理解できても、行動までおこせないのは当然であるかもしれない。理由は、脳は安定志向で変化を嫌うからである。
企業や組織の成長には、ブランディングがマストである。ジャストアイデアの広告表現だけでは、会社や組織の成長は見込めない。組織の代表やスタッフのセルフイメージの高さと、組織のブランドの高さは比例する。
今年の審査テーマは「広告表現を通してブランディングへの挑戦や実現」である。
4年連続就職率100%、県内就職率約75%の新潟工科大学が、審査員全一致でグランプリに選ばれた。ブランドは時間をかけて構築されていくので、広告やPRやWEBなどの組織内外にむけたコミュニケーションの継続が必要である。新潟工科大学は新潟広告賞の常連と聞いて納得した。
もしかしたら今回授賞した広告主の代表や担当者のセルフイメージは高いかもしれない。
今後もますますの成長が期待できるのではないだろうか。



新潟広告賞 審査員長
ブランディングプロデューサー
京都造形芸術大学客員教授
福井崇人

グランプリ


工科大コウカ君 登場篇/失敗篇/活躍篇
工科大デジタルOC篇
広告主新潟工科大学
制作社電通東日本新潟支社
部門テレビCM
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未来からの訪問者として未来ロボットのコウカ君が自身のルーツを探しに2019年の工科大学にやってくるというストーリー。差別化された強みであるコーポレートスローガンの「だって 企業がつくったものづくり大学」がブランドコミュニケーションの羅針盤になり、長期間継続することで、ブランディングに成功している。

新聞広告部門

優秀賞

未来のチカラ「挑め上越」新聞広告シリーズ
広告主田中産業株式会社
制作社株式会社 新潟博報堂/NEXT TYPE
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上越は熱く、元気。このシリーズ広告を見て素直にそう感じる。上越でチャレンジする人々にフォーカスを当て、それを地域ブランド構築に繋げる見事なパワーを感じる。新聞広告の役割の大切さも再認識させられた。

奨励賞

上越市立水族博物館 うみがたり 新聞広告シリーズ
広告主田中産業株式会社/上越市
コメント

昨年のグランプリ作品は、今年も強かった。圧倒的な出稿量と、インパクトあるビジュアル表現は、うみがたりの存在感と楽しさを伝え、地域ブランドをさらに盛り上げる。

200周年の御挨拶
広告主宮尾酒造株式会社
コメント

〆張鶴は私も大好きな銘柄の一つである。その酒蔵の創業200年の告知広告である。変わらぬ姿勢と真摯な態度を真正面から伝える紙面は、ファン納得の広告である。

100周年ティザー企業広告 へぎそば100年篇
広告主株式会社 小嶋屋総本店
コメント

これも私が通うお蕎麦屋さん。創業100年を伝える広告であるが、クラシック且つモダンな表現でブランドを伝える力作である。

2019年度意見広告
意見広告2本シリーズ 第1弾:あしたのごはんのために、きょうの農業を考えよう。
第2弾:いま農業で、いちばん育てたいのは、次のチカラ
広告主新潟県農政刷新連盟/新潟県農政刷新同志会
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日の丸弁当は、まさしく日本の、そして食と農業をそのまま具現化する。農業を取り巻く諸問題に発せられた意見広告であるが、それはそのまま新潟県にしかできない、ブランド広告にもなっている。

工科大コウカ君 新聞15段・5段広告
広告主新潟工科大学
コメント

今年、グランプリに輝いた大学のブランド広告である。大学の特性を擬人化したキャラクター開発等は、大学をより身近な存在へと変えた。新聞広告以外にも、綿密に計算された広告展開は、大学のブランド構築にインパクトを与えている。

グラフィック広告部門

優秀賞

イツモノトコという場所
広告主NPO法人 新潟ねっと
制作社株式会社 プログレックス
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初めて見た時にこれは何?と興味を持たせ、内容は難しいテーマを扱っているのに硬くならずに読ませる仕組みも秀逸である。 さらにデザインの優しい印象とコピーとのギャップが見る人の印象に強く残り良い。

奨励賞

米杜氏ブランドポスター
広告主株式会社 壱成
コメント

米杜氏の文字を米で表現しインパクトがあり、お米に対して真面目に取り組んでいるという強い気持ちがストレートに伝わるポスター。背景も米を見せる濃い単色ではなく、グラデーションをつけているので上品に仕上がっている。

プチって何だ!?
広告主株式会社 ブルボン
コメント

有名な俳優を使っているからではなく、とにかくインパクトのあるビジュアルで目立つ。思わず目が留まる。レイアウトも乱雑さを出し、何だ?と思い見入ってしまうので制作者の思う壺。表現として成功している。

THE GREEN GUILD
広告主庭園の郷 道の駅保内
コメント

やばい職人達、やばい連中の集まりなのかと思わせる写真表現と、表情とギャップのあるクスッと笑えるコピーにより腕が確かな親しめる職人を表現していて面白い。全体のトーンを揃えて上手に見せている。

つぎの快適をつくろう。
広告主株式会社 コロナ
コメント

企業としてどうあるべきか、真面目に物創りに取り組む姿が全面に伝わってくる写真を使い見せているので気持ちが伝わる。また生産側と消費側の2面を見せる表現も、使う人のことを思う姿勢が上手く表現されており好印象。

テレビCM部門

優秀賞

プチってなんだ!?篇 第一話~第四話
広告主株式会社 ブルボン
制作社株式会社 新潟博報堂
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ある企業の社長がプチの謎に迫る痛快コメディシリーズ。キャンペーンスローガンの「プチって何だ!?」を起点に、いろんなプチのラインナップが紹介できている。CFのトーンマナーとして、おもしろい社長とクールな秘書のかけあいを通して商品の存在理由のインパクトに成功している。

奨励賞

ハコミライクリエイト お客様の想いをかなえる。/若い力を育てる。/新しい技術に挑みつづける。
広告主株式会社 中央製版
コメント

製版業界は縮小している市場である。コーポレートスローガンの「ハコミライクリエイト」がブランドコミュニケーションの羅針盤になっている。長期に渡ってテレビコマーシャルを継続していることが、ブランディングにつながっている。


「農業が好きだ。」15秒 10本シリーズ/「農業×未来」篇30秒
広告主JA新潟中央会
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キャンペーンスローガンの「農業が好きだ」とCF音楽の「線路は続くよどこまでも」が、王道感をだしている。さまざまな生産者の仕事を紹介して、インナーアウターにJAのプライドやブランドが伝わってくる。

第25回参議院議員通常選挙臨時啓発事業「話そう、選挙のこと。」篇
広告主新潟県選挙管理委員会
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さまざまな市民に選挙に行くかどうかヒアリングして、選挙を自分ごと化させている。さらに、選挙当日に投票にいけない人のために、期日前投票や、不在者投票をよびかけるなど、選挙への興味関心を向上させている。



新潟仕込み「おせんべい屋」篇15秒
丸大豆せんべい「おせんべい屋」篇15秒
雪の宿「ホワミル気球」篇15秒
広告主三幸製菓株式会社
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米菓自体が差別化を図りにくい状況のなか、知名度や好感度の高いタレントを起用して、王道感、親近感、上品感を保ちつつ、丸大豆せんべい、新潟仕込み、雪の宿のそれぞれのフレーバー訴求を丁寧にコミュニケーションしている。

ラジオCM部門

優秀賞


君と歩む 篇/時をかける 篇
広告主日産プリンス新潟販売株式会社
制作社株式会社 エフエムラジオ新潟
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懐かしく思わず耳を傾けてしまう各年代を彩ってきた日産車の歴史と、愛車との想い出を重ねながら振り返るラジオCM。誰にでも一つはあるだろう車との想い出が思い起こされ、ギュッと心が共鳴する。ワクワクと懐かしさが込み上げ温かく心を動かした。

奨励賞




吉田鋼太郎とプチ篇/志田未来とプチ篇3本
広告主株式会社 ブルボン
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「プチ」という可愛い響きと吉田鋼太郎の渋い声との対比がシンプルに面白く耳を奪われる。ラジオの向こうの志田未来の可愛らしさも目に浮かびシリーズでの楽しさを耳に集めたくなる。キャラクターの味が伝わる作品。

お金の寿命篇
広告主第四銀行・北越銀行
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シリアスな音楽と共に、諭吉にさよならと告げられる悲しい始まりから切り替わり、エレガントなクラシックとお姉さんの声の明るさがクスリと笑える。諭吉の話し方が何故かカタコトなのも後でジワリと笑えるポイントである。




いくつ知ってる?いきもののふしぎシリーズ
広告主新潟市水族館マリンピア日本海
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チンアナゴやラッコにペンギン、人気のいきものたちの不思議な魅力が紹介される。シンプルで短いながらも、え?そうだったの?と親子の会話が弾み、学びながら楽しめそうだ。その不思議を確かめに水族館に行ってみようという家族の会話も聞こえそうだ。楽しく、いくつも聞いてみたくなる。

インターネット広告部門

優秀賞





三幸製菓コーポレートサイト
新潟仕込みスペシャルムービー
「OPEN!OSENBEI-YA」篇
丸大豆せんべい おせんべい屋篇 スペシャルムービー
雪の宿 ホワミル気球篇 スペシャルムービー
三幸製菓「雪の宿黒糖みるく味」・キャラクター「チャミル」新登場スペシャル動画
三幸製菓コーポレートサイト
広告主三幸製菓株式会社
制作社株式会社電通東日本 新潟支社
URLhttps://www.sanko-seika.co.jp/
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有名タレントを使いながらも、そのイメージだけに頼らず、自社の商品に込めたコンセプトをインターネットの特性を生かしながら、しっかりと丁寧に表現している。それによって出演タレントにも好感が持てる感じに仕上がっている。

奨励賞

街をつくった家具屋
広告主株式会社 ツールボックス
URLhttps://shs-web.com/
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家具店の社長が自らの店の歴史や在り方、さらに自分の理念を淡々と、しかし、明確に語っている。そこに店舗を様々な角度から撮った落ち着いた感じの上質な映像が重なっていく。


YUZAWA-MINAMIUONUMA GREEN SEASON/WHITE SEASON
広告主南魚沼地域連携インバウンド推進協議会(湯沢町/南魚沼市)
URL https://www.youtube.com/watch?v=wNNC024MCI4&t=12s
https://www.youtube.com/watch?v=QPyGMKbkpZ8&t=2s
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南魚沼の四季の魅力を、鮮やかな映像で丁寧に写し取っている。外国人一家をモデルにして、実際のインバウンド客の目線に立っていることで、魅力が一層際立っている。モデルの人々も嫌みのない感じで好感度アップ。





地名ハンターα(アルファ)
広告主アルファスグループ
URLhttps://www.youtube.com/channel/UC9OBVUnKY_LjFQc-LZLaFjA/videos
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地名の由来を取り上げながら、100回になろうとする長期シリーズ。非常に個性的なつくりで毎回パターンが同じだが、地名にこだわるなかで、地域に密着していこうというクライアントの意思は強く伝えている。

『或る、いつ和の物語』第4話
広告主株式会社 いつ和
URLhttps://itsuwa-group.jp/
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ネットならではの時間をかけ、丁寧に情感をこめている。少女たちの「はにかみ」や「憧れ」の中に着物の良さ、やさしさをよく表現している。日本の地方の良さ、やさしさのようなものも漂わせていて好感が持てる。

越乃寒梅“一輪一滴”
広告主石本酒造株式会社
URLhttps://koshinokanbai.co.jp/
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「一輪一滴」がいい。この言葉を、水をテーマに「川」と「雪」と「つらら」と「湯気」の清冽さと、寒梅の可憐さとで表現した。蔵元の銘柄を的確にイメージさせる。音楽と歌もよくマッチしている。