お知らせ

未来を切り拓くスノーピーク流経営とは?

 

 恒例の見学会、今年は10月6日、三条市のスノーピーク様におじゃまし、山井太社長のお話をお聞きしてきました。参加者数は33社63人。世界中のアウトドアファンから絶大な支持を得る同社訪問とあって、ここ10年では最多数、期待の高さがうかがわれました。
 三条燕インターから車で約30分。のどかな農村風景をどんどん進むとスノーピークヘッドクオーターズ(本社)が出現します。秋晴れのキャンプフィールドは緑果てしなく、すがすがしい風に吹かれると別天地にいるようでした。


山井社長

◆自分がほしいものだけをつくる

 山井社長は「未来を切り拓くスノーピーク流経営とは?~真北の方角を見つめて」と題し1時間余り講演。「だれを笑顔にしたいのか。だれに何をどう売るのか。これに尽きます」。これこそが「スノーピーク流 真北の方向を見つめる経営」と言い、真北=ぶれない指針を持つことの大切さを訴えました。
 山井社長は、父が社長時代の1986年に入社。今や海外を含め200人近いスタッフを擁する同社ですが、当時の従業員は15人、年商は5億。そんな中「時代の流れを変える」との経営理念を打ち立て、今日に続く快進撃をスタートさせます。たとえばテント。10,000円以下で安価だけれど雨漏りのする、上等とは言えないテントしか売られていない当時、同社が市場に問うたのは168,000円の高級品。大方の予想に反し、このハイエンドテントは100張を売り上げました。自身もキャンプが大好き、道具へのこだわりも強かった山井父子ゆえの信念…自分がほしいものだけをつくる、というスノーピーク流ものづくりがユーザーの心をつかんだのです。


◆苦しんだ時期があったから今がある

 「売り上げが低迷した時期もあった」と明かす山井社長。そんな中でも社長自らユーザーとキャンプを重ね、「焚き火トーク」と称するキャンプイベントで生の声を聞くなどして製品開発を重ねてきました。「物は良いけど値段が高すぎるよ」との声には、思い切った流通の簡略化で応えました。「売れなかったことで得たことがたくさんあり、それが今日に活きている。苦境を経験したことは無駄ではなかった」と語ります。
 「時代の流れを変える」の経営理念どおり、アウトドア=登山であった日本において「家族で楽しむオートキャンプ」という新しいアウトドア文化を創り出したスノーピーク。山井社長は「キャンプは人間性の回復のために必要なこと」と言います。子どもが野山を駆け回ること。テントを張り快適な空間をつくること。火をおこすこと。食事の支度をすること。キャンプ生活には家族が力をあわせる、という場面があふれています。現代社会から失われつつある家族の情景、または自然とのつながりを実感できるのがキャンプであり、それは社会的課題の解決にも役立っている、と。キャッチフレーズにしている「人生に、野遊びを」には、そんな思いが込められているのだと感じました。


◆全員が社内見学を担当

 今回はヘッドクオーターズも見学、総務課の大島さんの説明を聞きました。見学用通路から見ることができるオフィスは、仕切りのないワンフロアで社長以外は全員フリーアドレス。バランスボールに座りながら、あるいはテントの中でテーブルを囲みながら、他部署の社員と席を隣にしながら各自自由なスタイルで業務をしており、その結果「斜めの関係が自然にでき、社内の風通しが良くなる」という効果がもたらされているそうです。

見学の様子
 また、修理などアフターサービスの部屋も見せていただきました。同社は製品に「保証期間」を設けておらず、アフターサービスは「永久」。直しながら一生使い続けてほしい、と。都心のユーザーの中には、場所がないため乾燥のためだけにテントを送ってくるケースもあるそうです。
 見学は常時可能で、60人余りいるヘッドクオーターズのスタッフ全員が説明を担当するとのこと。仕事に対する誇りと自信を感じさせる一面に触れたように思いました。